読書レビュー5 著 税務調査対策研究会 社長、税務調査の損得は税理士で決まる!
今回の読書レビューは、私の仕事に直結してしまう本になってしまいますが、会社を経営している経営者の方、個人事業主の方にとってもいつかは訪れるかもしれない「税務調査」の対応とする本を選びました。
この本の監修をしている久保憂希也さんは、税務調査に関し正しい対応方法を税理士のためにセミナーを開いたりするなど、税理士業界ではちょっとした有名人だと個人的には思っております。
前回、私が記した税理士の選び方には記載しなかったのですが、税務調査に強い税理士も税理士を選ぶうえで重要な要素だと思います。
発刊年数が2012年のため、法改正による一部、現在はできないこともありますが、将来の税務調査のため、知識を蓄えて置きたい方、過去の税務調査で痛い目にあった方は一度、本来あるべき税務調査そして、その対処の方法を学ぶ上では非常に有益な本だと思います。
概要
第1章 税務調査について知ろう
第2章 調査官が見ているポイントは?
第3章 税務調査の正しい対応方法
第4章 税務調査でモメた場合はどうする?
第5章 税務調査の結末はどうなる?
本書は、上記の5章で成り立っており、元国税局として税務調査を行っていた久保氏の税務署内部からの目線での税務調査の目的や方法が国税局の目線で書かれており、非常に分かりやすい内容となっています。
また、顧問税理士のためのチェックシートもあるため、現状の税理士に不満・不安がある方には、やってもらうのもいいかもしれません。
学んだこと・感想
まず、最初にお伝えしますが、この本は税理士、個人事業主、経営者の方は絶対読んでほしい一冊です。中身を一部お伝えしたいですが、これは職業上、他の税理士には教えたくない部分もあるので、興味がある方はぜひ、手に入れてください笑。
僕ら、税理士は国家試験に合格してなる者や、税務署での一定年数を経過してなる者など様々いますが、税法の考え方は一つなので、誰が申告書を作成しても、必ず同じ結果になります(なるはずです)。
税理士の本来の実力が見えるのは資料作成面ではなく、税務調査で顕著に現れます。そこで、ダメな税理士、優秀な税理士と決めつけられるといっても過言ではありません。要は、税務調査は税理士にとって「腕の見せ所」となります。
普段の面談では、ものすごくエラそうなのに、税務調査になるとオドオドしてしまう税理士は実際にいます。また、税理士は本来顧問料を頂いているクライアントの味方のはずが、なぜか税務署寄りの税理士もいます。
なぜ、そのような対応をしてしまうかというと、税理士試験に税務調査の科目は無く、税理士になって、初めて税務調査に立ち会うため、どのように対応したら正解なのか分からない税理士が多いのです。
私は、以前、運よく久保氏のセミナーに参加させて頂くことができたため、一部内容が被る部分もあったのですが、新たな発見や忘れていた箇所もあったので、とても勉強になりました。
最後に
税務調査を受けたことがない方には信じられないかもしれませんが、税理士の対応次第では、追徴税額が何百万も変わるということもあります。
これは完全私見ですが、もちろん全員ではないですが、税務職員が行う税務調査は下手なヤクザがおこなう行動よりもたちが悪い部分があります。なんせ、税法の知識もないのにやたら、質問検査権を振りかざして、脅し文句を言ってくる輩もいます。そのような税務職員にやられないように、税理士に頼らなくても自分の身を守るために必要最低限身につけてほしい知識です。逆から言えば、それだけ税理士の力も落ちているともいえますので、とても悲しいことだともいえます。